修了生の声
井上 弘介さん
※掲載されている内容は2023年3月現在のものです。
Q.ご自身のプロフィールをお願いします。
職業はデザイナーです。
東洋大学経営学部を卒業し、美術大学を経て、フリーランスデザイン会社に勤務しています。主に海外向けのモビリティを対象に、調査・企画段階から実際のデザインまで、幅広くデザイン業務を担当しています。2003年から5年間はアメリカに駐在していたこともありました。現在はデザイン部のデザインディレクターを担い、兼務として経営企画部に所属し、自社の広報・ブランディング業務に努めています。また、大学の非常勤講師として、専門のデザインに関する講義や、一般教養の色彩学の授業を担当しています。
Q.本学に進学しようと思った動機・経緯を教えてください。
診断士の1次試験に合格し、2次試験の勉強を進めていた9月ごろ、母校に養成課程が存在することを知りました。当初はそれほど興味があった訳ではありませんでしたが、説明会に参加するうちに、いつの間にか2次試験よりも研究計画書作成に軸足が移っていきました。既に担当していた非常勤講師の仕事にもメリットがあると考えて、診断士の資格取得と並行して修士論文を執筆できる東洋大学の養成課程を志望しました。
またコロナ禍であったことも大きな理由でした。出張業務が減ると同時に、働き方自体が大きく変わり、土日と平日夜に大学に通える状況が揃っていました。おそらくコロナ禍でなければ養成課程に通えなかったため、母校で学び直すご縁やタイミングを強く感じました。
Q.本学で学んでみて気づいたこと・発見したことを教えてください。
養成課程で学べたことで、自分自身の強みと弱みを客観的に認識することができました。私以外の同級生はとても優秀で、実習やグループワーク、ゼミを通して自分の至らなさを実感することが多かったです。専門性の高い同級生から自分の知らない知識を教わることで、様々な学びや視点を得ることができたのは大きな財産になっています。振り返ると、長年同じ会社に勤めている中で、いつの間にか視野が狭くなり、経験則で判断することが多くなっていたように感じます。自分自身の固まった殻を少しずつ破りながら学びを深めた感覚があります。
Q.本学の魅力について教えてください。
①都心の好立地は、仕事終わりに通学する上でとても助かりました。
②施設が充実しています。特に図書館は蔵書数や座席数が充実しており、M2の頃には仕事が終わってから図書館で過ごし、閉館まで論文に取り組む日も多かったです。
③魅力的な講師陣が多く、土日の集中授業は毎回楽しみでしたし、実習では毎回どの講師の班を選択するか悩んでいました。
④カリキュラムの完成度が高いです。2年間で5回の実習が予定されていますが、修士論文執筆のためのロードマップもしっかり組まれているため、安心してそれぞれに集中できるスケジュールが組まれています。
Q.論文の研究テーマや内容について教えて下さい。
「新製品開発における外部デザイナーの役割 -優れた技術や素材を持つ中小企業の事例研究-」というテーマでした。業務に近い問題意識からこのテーマを選びました。主指導の高梨先生のゼミでは、6名のゼミ生それぞれが研究報告を行うだけでなく、M1の頃には書籍の輪読や論文の読み込みも行います。入学当初を慣れるまでに苦労しましたが、M2になる頃には、力がついていることをそれぞれ実感するほど、学びを深めることができました。論文では、質的研究として9人の対象者にインタビューさせていただき、GTAを用いて分析しました。リサーチギャップを定めてRQを立て、インタビューから考察を経て結論を導くプロセスは苦難の連続でしたが、純粋に研究に没頭できる得難い時間になりました。先生方や気の合うゼミの仲間がいて、苦労を楽しめる環境が整っていたことがありがたかったです。
月曜夕方からの授業は、仕事をもつ社会人学生にとって非常にタフなスケジュールでしたが、その分業務時間内でどのように効率よく仕事を終えるかを考える良い機会になりました。仕事においても、判断が早くなりブレなくなったように感じました。
Q.ゼミ教員や中小企業診断士教員とのエピソードがあれば教えて下さい。
まず、ゼミから述べます。主指導の高梨先生、副指導の野中先生から指導をいただきました。先生方は学部での学生指導もされているため多忙なはずですが、社会人学生の問題意識を丁寧に聞いていただき、経営学のフレームに整えていただけたことで、アカデミアの一員に迎え入れていただいた思いでした。研究室でお話しを伺うたびに、知識の泉を訪ねるような感覚がありました。両先生から指導をいただけたことで、自分自身の人生が豊かになったと実感しています。次に養成課程についてです。木下先生、岩岡先生はじめ、第一線の先生方から指導を受けられたことが貴重な経験です。多くの気づきを得ることができ、感謝の気持ちでいっぱいです。特に、集中講義や実習班でご指導いただいた重松先生は、デザインに関わる業界での実績も多く、すでに診断士として実践されていて多くの視座を得ることができました。最後の実習の振り返りの際にいただいた、「ワクワクする選択をしてください」という言葉に、強く背中を押された思いでした。
Q.本学での学びがどのように役立っているのか教えて下さい。
まず一つ目は、理論と実践についてです。社会人の傾向として、実践経験は多いのですが、経験を積めば積むほど視野が狭くなることは否めません。自社にとっては新しいことでも、その新しさが客観的にどのような位置付けになるのかは、アカデミアの中にヒントや答えが数多く存在します。そうした理論と実践が噛み合う瞬間は、社会人学生の一番のメリットだと感じます。さらに、診断士養成課程では実践的な学びも多いので、大学で得られた知識を会社の業務に還元できたことは数え切れません。
二つ目は視点が増えることです。一つの現象に対して会社の論理とは会社人としての視点とは異なる、客観的な別の視点を持つことができるのが大きなメリットだと考えられます。
Q.仕事やプライベートの折り合いや時間の使い方について教えて下さい。
基本的に土日はなくなります。覚悟はしていても慣れるまでは大変です。家族や友人との時間も取れなくなるため、周囲の理解が不可欠です。自分自身の趣味の時間は優先順位がさらに低くなってしまいますが、適度に休みも組まれているので、そうした貴重な休みを活かすことも重要です。授業料含めて、入学前にきちんと計画を立てることもコンサルの第一歩なのかもしれません。
社会人学生にとっては2年間で様々な課題も出てくると思います。木下先生、岩岡先生の面倒見の素晴らしさが東洋大学養成課程の特徴の一つです。まずは相談することを強くお勧めします。
Q.本学で得られた資格や学位、スキル、経験を将来どのように活用していきたいか教えて下さい。
養成課程で学んだことで、自分の強みが明確になりました。診断士、デザイン、講師の3つが強みです。デザイン分野の診断士として、また、経営がわかるデザイナーとして貢献できればと考えています。また、大学での講師業の方もいつの間にか多くなっています。今後も若い方の学びを支援しながら、自分自身も成長できればと考えています。
一つの分野だけだと大変ですが、すでに社会人として経験している分野や特技を診断士の資格と組み合わせることで希少な提供価値が存在します。自分自身のこれまでのスキルの棚卸しという意味でも、2年間の学びは良い機会になるはずです。
Q.今後、本学を目指す方にメッセージをお願いします。
診断士資格の勉強をしていた当時、資格取得をゴールに設定し、取得後の診断士としての具体的な活動は漠然としていたように記憶しています。しかしながら、実際には資格を取得してから何ができるかの方が重要であり、その後の長いキャリアが待っています。企業内診断士、あるいは独立を考えている方と様々だと思いますが、どのようなキャリアを歩むとしても、ご縁やネットワークは無駄になりません。修士課程や集中講義の先生方をはじめとしたさまざまなネットワークが東洋大学養成課程に通う一番のメリットなのかもしれません。
今井 貴将さん
※掲載されている内容は2023年3月現在のものです。
Q.ご自身のプロフィールをお願いします。
大学卒業後、地方銀行を経て、現在は中小企業支援機関に勤務しています。支援機関では、助成金、海外展開、人材育成、知財支援などを行ってきました。海外展開支援に従事していたときに2年間の海外赴任を経験しました。特に助成金のキャリアが長く、助成金は中小企業支援になくてはならないものになっているため、仕事をするうえで自身の強みの1つになっています。
趣味は読書と野球観戦です。大学院2年間で200冊ほど本を読みました。ビジネス、学術系の本が大半です。マイベストセラーは、ベン・ホロウィッツのHard Thingsとクレイトン・クリステンセンのジョブ理論です。卒業後も引き続き、読書を続けていますが、インプットの質が向上したと実感しています。
家族は、妻と4歳、1歳の子供がいます。この2年間、家族との時間を作ることに大変苦労し、家族に大いに支えられました。家族の存在は、モチベーションの源泉になっています。
Q.本学に進学しようと思った動機・経緯を教えてください。
私が務める中小企業支援機関では、職員の3割ほどが中小企業診断士を保有しています。また、仕事では中小企業診断士の専門家と関わることが多く、同じ目線で仕事をしたいと思っていました。
きっかけは2年間の海外赴任です。赴任時、30代半ばでしたが、自分の能力・スキルが大きく劣っていることを痛いほど知りました。帰国したとき、迷うことなく取得したいと思っていた中小企業診断士の勉強を始めました。
実践的なスキルを得たいと思っていたため、最初から2次試験は受験せず、中小企業診断士養成課程に進む予定でした。数ある養成課程の中で、仕事で関わる複数の中小企業診断士から「養成課程は迷うことなく東洋大学が一番」ということを聞いて、東洋大学大学院に入学したいと考えるようになりました。
Q.本学で学んでみて気づいたこと・発見したことを教えてください。
これまで、同じ会社で似たような考え方を持つ人たちと仕事をしてきましたが、東洋大学大学院に進学し、多様なバックグラウンドをもった優秀なビジネスパーソンと出会い、自分の未熟さを思い知りました。同時に、学習意欲、成長意欲が湧き、2年間高いモチベーションを維持することができました。それは卒業後である現在も維持できています。
自分の強みを発見できたことが大きな発見でした。誰もが知っている企業に勤めている優秀な同期と勉強していても、同期が知らない、できないスキルを見つけることができました。そして、自分のキャリアの方向性を考え、見出すことができたことも大きな発見でした。これは、東洋大学大学院にこなければ、考えることもしなかったと思います。
Q.本学の魅力について教えてください。
単に中小企業診断士の資格を取得するだけの2年間ではないことです。例えば、論文執筆の負担を踏まえ、演習と実習がスケジューリングされています。演習の内容は練られており、実習に活かすことができる内容になっています。
中小企業診断士の講師は実践経験が豊富で、それぞれから、多くの学びがありました。ゼミの指導教員からは、学術的な知見はもちろん、中小企業診断士養成課程であることを踏まえ、実践で役立つ知見を教えてくれます。そして、これらの学びを木下先生、岩岡先生がフォローしてくれます。中小企業診断士資格取得後のキャリアの相談にも積極的に乗ってくれ、自分のキャリアを考えるうえでとても参考になりました。
それ以外にも東洋大学の設備が整っており。学ぶ体制が整っています。この2年間、学ぶこと以外に気が散ることなく、全力で勉強することができました。
Q.論文の研究テーマや内容について教えて下さい。
新分野進出プロセスにおける中小企業経営者の意思決定を研究しました。意思決定の中でもとくに忌避されやすい直観に焦点をあて研究しました。銀行員、中小企業支援機関に勤めて、経営者の直観による意思決定を数多く目の当たりにしてきました。ロジカルシンキングがもてはやされる中で、なぜ、直観のような意思決定をしているにも関わらず成功するのか、その点に疑問を持ったのが研究しようと考えた理由です。
直観研究は、経営学のみならず、心理学や脳科学など幅広く研究されている学際的な研究分野です。それゆえ先行研究において、経営学のみならず複数の学問領域をレビューしました。また、直観という極めて暗黙知的な要素をどのように科学にするか、という点にとても苦心しました。最終的にはシングルケーススタディによる質的研究手法を用いて、仮説導出型の論文としました。
Q.ゼミ教員や中小企業診断士教員とのエピソードがあれば教えて下さい。
主指導であった井上善海先生には、論文の基礎の基礎から教えていただきました。幅広い分野に精通し、単なる指摘にとどまらず「どのようにすればいいか」まで多くのヒントをいただき、2年間、苦しみながらも楽しく研究を進めることができました。また、研究の魅力をあますことなく教えてくれて、自身が博士課程に進学するきっかけをいただきました。副指導の高梨千賀子先生からは、短時間の説明で研究の本質を見抜き、それまで検討していなかった視点やヒントをいただき、とても感謝しています。
戦略Ⅱ実習を担当いただいた岩岡先生には、戦略策定のみならず、コンサルティングの基礎を教えてもらいました。この実習での学びは大きく、意識も変わりました。その後の読書などのインプットの質があがったと実感しています。演習で印象に残っているのは、総合経営を担当している山口先生です。愛のある強烈なフィードバックでコンサルタントに必要な覚悟を教わりました。
Q.本学での学びがどのように役立っているのか教えて下さい。
私の仕事は、都内の中小企業に対して、経営支援サービスを提供することです。立場は、数ある支援事業と専門家を繋ぐ役割ですが、中小企業の経営課題を整理して、適切な専門家や支援事業に繋ぐことができるようになりました。当てはまる支援事業がない場合では、自分自身でアドバイスできるようになり、支援機関職員としてのレベルがあがったと感じています。そして、なにより、役立ったのは、勉強することが習慣化したことです。大学院を卒業しても博士課程に進学し、勉強を続けています。
それ以外にも、日々流れてくるニュースを、大学院で学んだ知識を活かして、自分なりに分析したり、調べて新たな知識を身に着けたりと、「大人の勉強方法」を教えてくれました。
また、修士論文を書いたことで、論文の読み方を学び、学術の世界の知見をビジネスに活かすことができるようになりました。それまで、経験や会社に蓄積されているノウハウやフレームワークなどを使い仕事をしてきましたが、これに学術的な知見を加えて仕事をすることができています。
Q.本学で得られた資格や学位、スキル、経験を将来どのように活用していきたいか教えて下さい。
得られた資格、スキルは、本業である中小企業支援において活用していきたいと思っています。具体的には、公的機関の支援に、この2年間で学んだことをプラスして、付加価値をつけた支援をしていきたいです。これまでは、支援メニューを企画立案する立場でしたが、状況に応じて、実行支援できる立場になることを目指しています。また、現在、博士課程に在籍しており、経営学の知見を中小企業支援に活かしていきたいとも思っています。いずれは博士号を取得し、中小企業診断士、中小企業支援機関職員、研究者3つがそれぞれシナジーを生むようないい循環を作り出していきたいと思っています。そのきっかけを得ることができた東洋大学大学院は大変、有意義な2年間でした。
Q.今後、本学を目指す方にメッセージをお願いします。
これまで経験したことがないようなダイナミックな2年間が待っています。家族や仕事との両立は大変ですが、時間がない状況からも、限られた時間の中で何を優先するかという学びがあります。先生の教えだけでなく、同期の言動、実習企業、研究など学びが色んなところにあります。2年間で得た様々なネットワークも貴重な財産です。
なによりありがたいのが、その学びを先生が最大限フォローしてくれることです。仕事がら中小企業診断士の方と会うことが多く、入学前に養成課程について聞きましたが、多くの方が東洋大学を勧めてくれました。プロからみても間違いない学びと成長が得られる2年間、ぜひ皆様にも体験してほしいと思います。
佐竹 良太さん
※掲載されている内容は2023年3月現在のものです。
Q.ご自身のプロフィールをお願いします。
私は栃木県宇都宮市出身で、小中学生の頃はサッカー部に所属する外で遊ぶのが大好きな活発な少年でした。高校から大学時代は勉強そっちのけでバンド活動に勤しみ、一時はプロを目指したほど夢中になりました。大学卒業後は現在、勤務する企業で営業職に就き現在に至ります。
Q.本学に進学しようと思った動機・経緯を教えてください。
私は創業約70年になる中小機械メーカーで営業職に従事しており、まず、中小企業診断士を目指した動機がここにあります。顧客である中小企業の経営者の方との商談では、商材の話題から広がり経営に関する多くの課題や悩みについてお話を伺うことがあるのですが、その度に知識不足を痛感していました。そのため、自社商材に関連した知識だけではなく、経営に関する体系的な知識も習得したいと考えていました。またその頃、国内営業に加えて会社が長年課題感を持っている海外営業への配置転換を打診されました。顧客の経営面での課題を汲み取りながら自社製品を提案できれば、会社の長年の課題を解決すると同時に自身のステップアップに繋がるのではないかと考えました。
中小企業診断士の2次試験は、1次試験合格後受験回数に限りがありますので、2次試験を1度受験して落ちた場合には東洋大学大学院の養成課程を目指すと決めていました。それは回数制限という後ろ向きの理由ではなく、将来的にMBA取得を志向していたこと、資格取得だけではなく実践力を身につけたうえで中小企業診断士となり、即戦力として中小企業の支援をしていきたかったことからです。
Q.本学で学んでみて気づいたこと・発見したことを教えてください。
実習や講義を通して先生方から学ぶことはもちろんのこと、同期のメンバーから学ぶことが多かったです。同期は、年齢だけでなく職種も様々でそれぞれが専門性を持っていて、得意分野や不得意分野がはっきりしています。講義はグループワークがメインで、資料作成からプレゼンテーションまでを班別で実施するのですが、不明点があったり助けが必要となった際には、先生だけではなくその業界に精通しているメンバーの手を借りることで、パズルのピースを埋めるように課題を解決することができました。さらに、自身が中小企業診断士としてどの分野でどういった専門性を持ち貢献することができるのか、将来に向けて自分を見つめ直し分析することができました。
Q.本学の魅力について教えてください。
大きく3点あります。
まずは、中小企業診断士として第一線で活躍しておられる先生方や、その分野のエキスパートである教授陣からのご指導を仕事を続けながら受けられることです。入学後の2年間、基本的に土日は通学することになりますが、学生なので長期休みもありそこで一息つくこともできます。仕事と勉学を両立できることは本学の大きな魅力だと思います。
次に、総合大学としてのメリットを享受できることです。論文執筆にあたっては多くの先行論文を参照する必要があるのですが、東洋大学は図書館が大変充実しており学校による大きなバックアップを感じました。また、東洋大学は日本一と言われるほど、学食のメニューが豊富でおいしいです。土日の昼休みや平日のゼミ前に通うのが楽しみでした。
最後に、コミュニティーが充実していることです。時おりOB・OGを含めた懇親会が開催されていて、同期だけではなく上下のネットワークも広げることができます。先輩に卒業後の活動を相談することもでき、自分の将来について考える際の参考になりました。そして何より同期の存在は大きかったです。月並みではありますが同じ目標に向かって邁進する仲間がいることは進学の大きな魅力だと思います。
Q.論文の研究テーマや内容について教えて下さい。
「中小企業による革新的塗装システムの共同開発―資源動員と知識創造の相互作用による組織的プロセスの考察―」
中小企業におけるオープンイノベーションに関して研究しました。中小企業は大企業と比較して、大学や公的機関など外部と連携した新製品開発の実施率が低いという現状があります。新型コロナウイルスの流行やデジタル技術の急速な進展などに起因して外部環境が大きく変化している現代社会において、外部と連携してイノベーションを生み出す「オープンイノベーション」の重要性はさらに増していきます。私の研究では、大学や公的機関と連携する「産学官連携」を通したオープンイノベーションによって製品の市場化にまで至った成功事例を取り上げて分析し、中小企業という規模が有利に働く、中小企業ならではのプロセスの存在を明らかにしました。
Q.ゼミ教員や中小企業診断士教員とのエピソードがあれば教えて下さい。
私が所属していた高梨先生のゼミでは、毎週月曜日の夜がゼミの時間で、仕事終わりに大学に通いました。研究の進捗を発表する時間では、時には厳しいお言葉を頂きましたが頭の中がどんどん整理されていくのを感じました。また、私は入学後しばらくは最終的な修士論文のテーマとは異なる研究を進めていたのですが、途中それに行き詰まってしまいました。完全に他のゼミ生に後れを取っていたのですが、先生にアドバイスやヒントを頂きながら無事方向転換に成功し、論文の完成に至りました。結果的には、理論的・実践的にも満足のいく内容で、自身の興味が強い分野で論文を執筆することができ、たくさんのご指導を頂いた高梨先生には感謝の気持ちでいっぱいです。
Q.本学での学びがどのように役立っているのか教えて下さい。
仕事と両立しての通学なので、仕事面ですぐに学びが活きました。前述の通り、私は現在中小機械メーカーで営業職に就いています。顧客の経営者の方々と会話をする際、以前は話題に対してただ相槌を打つことしかできなかったのですが、言葉を返すことができるようになりました。そうするとさらに話題が広がり、もっと多くのお話を伺うことができます。これは入学前の自分ではできなかったことでした。また、会社として展示会に出展する機会があるのですが、これまで活用できていなかった助成金制度利用を社内に呼びかけることができ、実習や講義を通して得た知識が即座に実務に活きました。
そして副産物ではあるのですが、PCスキル(特にWord、PowerPoint)が格段に上がりました。今まで使ってこなかった機能を知ったことで、業務効率が上がったと実感しています。
Q.今後、本学を目指す方にメッセージをお願いします。
2年間、仕事と勉学を両立することは想像以上に大変でしたが、入学を後悔したことは一度もありませんでした。実習の提案資料作成や発表準備、研究論文の執筆に追われ睡眠不足が続く日々は確かにハードではありましたが、それよりも自分が確実にレベルアップしているという実感や充実度のほうが強かったからです。さらに、同じ苦労を共にしている仲間の存在も大きな励みになりました。この2年間はこれまでのどの2年間よりも濃く、得難い経験ができました。
仕事を続けながら中小企業診断士の資格を取得したい方、MBAの取得も同時に目指したい方、利便性が高く充実した環境で学びたい方にとって、本コースは非常に魅力的であると思います。入学後は私がそうであったように、インターネットや資料の情報からは読み取れない大きな収穫もあるはずです。
玉井 宏明さん
※掲載されている内容は2023年3月現在のものです。
Q.ご自身のプロフィールをお願いします。
大学の工学部を卒業後、総合電機メーカーに就職し、数年間は技術職を経歴、その後約30年近く住宅設備機器の営業職や営業マネージャーを歴任をしていました。2021年10月に定年退職し、現在は再雇用にて営業職に従事する。何事にも明るく・前向きで、人間関係づくりを大切にすることを信条としており、大学院での2年間は同期のメンバーや講師や先生とのコミュニケーション力を磨いてきました。卒業後は、独立を目指して準備をし、マーケティング・組織や人事面のコンサルティング活動を目指していきたいと考えております。
Q.本学に進学しようと思った動機・経緯を教えてください。
住宅設備機器メーカーで営業職一筋で仕事をしており、仕事上建設業の中小企業の経営者と話をする機会が多くありました。営業の話の中でも、経営やマーケティングの知識が必要と勉強をしており、会社を定年退職前に中小企業診断士の資格取得を目指していました。しかし勉強だけでは得られない実践的なことや、中小企業の経営者への経営診断実習や、豊富なカリキュラムや講師陣の多さを進学説明会で聞き、東洋大学の受験を決めました。又、私は第12期入学でしたが1つ前の11期入学の先輩(年は私より大分若いですが)勉強仲間から、約1年間平日仕事をしながら土日は東洋大学大学院に十分通えること、同期の仲間と学ぶ楽しさ、充実感を教わり、受験を決めました。他の養成課程コースの検討や受験は一切考えず、東洋大学大学院1本で受験し、1回目の受験は不合格でしたが、2回目の受験にはしっかり準備して合格に至りました。
Q.本学の魅力について教えてください。
東洋大学大学院では、同期入学に年齢や様々な業種の違いや、経歴やスキルが違う同級生が、2年間平日は仕事をし、毎土日は大学院の教室で机を並べ授業を聴講します。聴講するだけではなく、毎回違うメンバーでのグループワークの時は互いの意見を出し合い切磋琢磨が出来る貴重な体験が得られることが大きな魅力です。講義では、各テーマ毎の教授や社外で実際にコンサルティングをされている先生方が指導してくれるので、コンサルティングの現場の方から実践的なお話を伺えることで、新たな気づきを得ることができました。卒業後、プロのコンサルタントとしての将来のあり方を自分なりに整理し考えたり、さらに先生に相談する機会を得ることができました。
Q.論文の研究テーマや内容について教えて下さい。
論文のテーマは、「住宅リフォーム事業者による企業間連携による事業存続・成長に関する研究」です。企業間連携というテーマに興味があり、仕事に関連のある題目で研究しました。指導を頂いた井上教授が、連携やオープンイノベーションに詳しく研究テーマや研究方法まで大変丁寧に詳しく指導をされました。事例研究をメインにしており、中小企業のリフォーム会社へのインタビューにも同行頂きインタビュー内容や、お作法まで細かく指導を頂きました。顧客からあまり信頼のない業界において、リソースが少ないリフォーム会社が1社単独では経営が厳しいのではの問いに対して、企業間連携・連携体組織形成における事業存続・成長を事例の中で明らかにしていきました。経営者とのヒアリングを通して、中小企業の経営の厳しさや同業他社との連携の必要性など現場で実践的に学べたことは今後に大きく役立てることが出来ました。
Q.ゼミ教員や中小企業診断士教員とのエピソードがあれば教えて下さい。
中小企業診断士教員の方から多くの指導を受けましたが、実際にコンサルタントとして現場で活躍している方々の診断企業先との対応や診断手法が大変印象に残っています。特に1年目の冬に駅から離れた製造業の工場での診断実習では、工場到着時相手企業から目に付かない離れた場所でタクシーを降りて熱心な指導を受けました。当日の実習スケジュールや、工場のラインで作業中の従業員への対応など寒空の下で10分以上細かい内容を繰り返しご指導を頂きました。コンサルタントにおいては相手企業先の問題点・課題を解決するためには、現場での見聞きや実測データーによる分析から、相手先が気づいていないことから解決に向けたヒントが得られると指導を頂きました。コンサルタントは現場の見聞きが大事で、相手に寄り添い、相手の気持ちを理解してこそ、相手を動かすことが不可欠であると痛切に学びました。第一線で活躍している教員の方々はそれぞれの手法やツールで私たち大勢の実習生に対して、意識や行動変革を丁寧に教えて頂きました。
Q.本学での学びがどのように役立っているのか教えて下さい。
私は現在、中小企業の建設業、住宅会社、住宅設備機器販売の卸・小売り業の経営者の方とお付き合いをさせて頂いております。中小企業の経験豊富な経営者に対しては、初対面でお会いしても物怖じせずに会話できたり、業界の知識が少なくても相手先とのヒアリングで問題点や課題を伺うことが可能となりました。養成課程コースでの学びが大変役に立ち、今後コンサルをしていくにおいて、自らの強みであると感じています。大学院での2年間豊富なカリキュラムでの学びや、様々な中小企業診断士講師の方からのご指導、5回の経営診断実習を通して経営者の方と真剣にお話をするなど貴重な経験・学びを得ることが出来ました。このことからも、日々の行動では自ら仮説・検証を考え、実践を繰り返しできるようになりました。
Q.今後、本学を目指す方にメッセージをお願いします。
企業に勤めながら仕事とは全く別分野での勉強は本当に楽しいです。特に年代・業種や経験の違う同期との学びは、現在現場でやっている仕事や、これからキャリアを広げていきたいと思っている仕事に大いに役に立ちます。自分では全く気づいていないことへの気づきや、すでに興味のあることに対してさらに見識を深め、専門性を磨いていくことが可能です。自らがより高く成長できるだけでなく、人生経験の中で仕事とは別に地域社会に貢献することも可能になると思います。ぜひ東洋大学大学院で専門的な知識を学ばれ身につけられて、「キャリアUP」・「なりたい自分」など描く場としていってください。最高に楽しいです。
藤井 啓子さん
※掲載されている内容は2023年4月現在のものです。
Q.ご自身のプロフィールをお願いします。
2016 年まで医療や介護事業を運営する生活協同組合連合会で、会員である全国の病院・クリニック・介護事業所の人材育成、経営支援をしていました。
2017年に独立、クリニックや介護事業所へコンサルティングする一般社団法人を立ち上げました。現在は、介護以外へも領域を広げています。2023年4月から、中小機構の中小企業アドバイザーを拝命しました。
Q.本学に進学しようと思った動機・経緯を教えてください。
入学前から、コンサルティングをしていましたが、経験に依拠したアドバイスしか出来ず知識やスキルが圧倒的に足りていないと感じていました。
中小企業診断士を目指して勉強しているなか、二次試験と同時期(10月)に、仕事上、別の国家試験を受験する必要がありました。両方に十分な時間と労力を割くことは難しい、しかも50代の二次試験合格率は10%前後、30〜40代と比較すると合格可能性が低いのが現状でした。そこで、二次試験は受験しないと決め、養成課程を通じて中小企業診断士資格を取得する選択肢を検討しました。多くのことを学びたいと思っていましたので、MBA(経営学修士)カリキュラムのある東洋大学に絞って進学を希望しました。
Q.本学で学んでみて気づいたこと・発見したことを教えてください。
1、気づいたこと:自分の得意、不得意の再認識
経営戦略、マーケティング、財務、人事など幅広い分野の実践的なビジネススキルを学ぶ過程で自分の得意、不得意を意識するようになりました。それは、自分の「売り」は何かを考える機会となりました。
2、発見したこと:同期生は、各分野のプロフェッショナル
先生からだけでなく、プロ集団である同期生から学ぶことがたくさんありました。例えば、Web解析の手法など、これまで全く縁がなかったことが身近になりました。又、若い人たちのパソコンスキルが高く、みんなのスピードに遅れないように、敬遠していたショートカットキーを紙のノートにまとめ、アナログに暗記する姿を子どもたちから同情されながら、スキル向上に努めました。
Q.本学の魅力について教えてください。
大きく2つの魅力があります。
1、施設の充実
①図書館の蔵書②大学等が契約しているデータベースに24時間アクセス可能③統計ソフト(SPSS)等が装備されたPC教室を自由に使える(大学生協では、一年ライセンスのSPSS学生版を廉価で購入可能)④学食がある
2、ネットワークの構築
① 実践的な分野からアカデミックな領域まで多様な講師陣から重層的に学べる
②先輩,後輩とつながりが持てる
①②により、さまざまな業界や職種の人々と、貴重な人脈を築くことができます。
Q.論文の研究テーマや内容について教えて下さい。
修士論文:「介護事業における女性の起業意志と決定要因について」
自分自身が起業経験者で、女性の起業を応援したいという気持ちが強く「女性のアントレプレナーシップ」が関心事です。修士論文では、介護従事者男女600名にネットでアンケート調査を実施し、起業意志の決定要因を重回帰分析などを使って統計的に明らかにすることを試みました。男性と女性では起業意志に明確な差があるという結果でしたが、要因として仮説で提示した自己効力感やグリット(やり抜く力)は男女差はありませんでした。今後、更に要因を検討し、何がどのように影響しているかを明らかにすることを研究課題として、追求していきたいです。
Q.ゼミ教員や中小企業診断士教員とのエピソードがあれば教えて下さい。
①ゼミ 主査:山本聡教授 副査:高梨千賀子教授
山本先生から指導を受けながらエビデンス作りを経験しました。研究は勉強と違い、それまでの学術研究の蓄積から新しいことを明らかにすることと教わりました。世界には大量の優れた研究があること、日本語だけでなく英語の論文を読む必要性、著名なジャーナルの紹介など多くの指導を受けました。2年次には学内で中小企業学会が開催され、他校の研究者の発表を見る機会に恵まれました。2年間で研究の苦しさと楽しさに魅了され、もう少し研究を続けたいと博士課程進学を決めました。
②中小企業診断士
5回の実習で、中小企業診断士として必要な視点や求められるアウトプットの質と量を教えていただき、どの実習もとても大きな学びとなりました。
又、2年間を通して、木下先生と岩岡先生には大変お世話になりました。木下先生は残念ながら実習で学ぶ機会はなかったのですが、進路相談をした時に、私のとりとめのない話をサラサラとホワイトボードに図解して論点を示していただき、「これぞ、コンサルタント思考法」と感じたことが印象に残っています。
Q.本学での学びがどのように役立っているのか教えて下さい。
1、経営計画書の書き方
計画書作成の演習を通じて、事業計画を立てるだけでなく、他人にわかりやすく見せることの重要性を学びました。
2、プレゼンテーション
演習、実習、ゼミ、様々なシーンでプレゼンテーションが求められます。
自分がプレゼンしているところをビデオに撮って後から見る、他人から意見をもらうという体験が強烈でした。人を説得するには、内容だけでなく、スライドの作り方、見せ方、話し方、立ち居振る舞い、髪型や洋服にも工夫が必要と実感しました。
Q.本学で得られた資格や学位、スキル、経験を将来どのように活用していきたいか教えて下さい。
コンサルタントとしての仕事の質を向上させ、より専門的なアドバイスやサポートを提供できる中小企業診断士として、社会にとって価値ある貢献を行いたいと考えています。
又、博士課程への進学による継続的な学習を通じ、最新の知見や成果を修得し、自身の研究成果を学会や専門誌に発表していきたいです。
Q.今後、本学を目指す方にメッセージをお願いします。
社会人になってから大学に通う経験は、とても貴重でかけがえのないものです。社会人としての経験が、学びに対する意識や価値観に変化をもたらし、実践的に知識やスキルを吸収できます。
又、自分の能力や可能性を拡げることができるため、自信や満足感を感じることができます。
何より、同じ目標を持つ仲間との出会いは、他では得難いものです。東洋大学に進学することで、キラキラした第二の青春を過ごすことができるのではないでしょうか。
山﨑 崇紘さん
※掲載されている内容は2023年3月現在のものです。
Q.ご自身のプロフィールをお願いします。
・メーカー系IT企業でSIerとして5年勤務し、主に中小企業様向けにITの導入を担当。PJリーダーとして案件対応し、慣れたタイミングで経営を志すために転職。
・介護系中小企業で社長の右腕として5年間勤務し、主に経営全般に従事。3期連続赤字の経営再建、事業企画、人材紹介事業の立ち上げ、営業体制の構築、現場の介護を自ら実施、煩雑な事務管理体制の構築。
・教育系のメガベンチャー企業に5年間勤務し、主にIPOフェーズのコーポレート部署にて、チームビルディングを担当。経営企画業務、シンジゲートローンの対応、業務効率化に向けたIT導入のマネジメント、ITヘルプデスクチームの再構築、ITインフラチームの立ち上げなど。
・小規模ベンチャー企業に転職し、主にIPO対応に従事。経営企画部のトップとして従事。証券会社対応、IT導入のマネジメント、株主対応、法務部や経理部の再構築のフォローなど。
Q.本学に進学しようと思った動機・経緯を教えてください。
自分が担当した経営再建や組織再生などの経営に関する有機的な経験を、少しでも経営者様のために貢献し、それが社会貢献につなげることが夢です。そのためには、体系立てて、客観性や再現性をもってアウトプットする必要があるため、診断士を受験した時から、大学に進むことを検討していました。
経営再建時は何をやっても、箸にも棒にも掛からないくらい上手くいかず、経営に関して右も左も全く分からない状態でした。その中、メガバンクの元支店長で、自身でも会社を経営されている社長にお会いすることがあり、その社長に直接、経営の指導を受けていました。何となく体で覚えたノウハウを整理する必要があると思い、診断士の受験を志しました。そして、アウトプットができる状態までに成長するには、時間をかけて実践形式で学ぶ必要があると思い、また将来、独立も視野に入れていたため、養成課程を選びました。
他に様々な養成課程機関がある中、東洋大学を選んだ理由は、「優秀な講師陣の存在」、「優秀な先輩方の存在」、「2年間じっくり取り組めること」、「図書館など充実した施設」、「MBA側のアカデミックと診断士側の実践形式とのシナジーを活かした教育」に大変魅力を感じ、ここまで環境が整った機関は、他にはないと思ったからです。優秀すぎる先輩方や同期の存在から、第一志望の東洋大学に合格できるか不安で仕方なかったのですが、無事合格できた時は、今までの人生の中で一番うれしかったです。
Q.本学で学んでみて気づいたこと・発見したことを教えてください。
本学で研鑽を積むことで、様々なキャリアの方向性を検討することができるため、素晴らしい環境でした。具体的には、経営企画職など企業内診断士として活躍、独立、コンサルファームへの転職、または博士課程への進学など、どのキャリアに対しても可能性が見出せたため、将来どの道に進めばいいのか、迷いに迷ってしまいました。自分だけでなく他のメンバーも同様な状況だったと思います。その中で、木下先生を含め、様々な先生に丁寧なアドバイスをいただき、このように素晴らしい方々に囲まれる、恵まれた環境はないことに気づきました。
最初の授業から、どの業界のどの職種においても間違いなく、すぐ仕事に活かせるノウハウを学べることに驚きました。さらに、様々なキャリアを持つメンバーと切磋琢磨し、共に過ごすことで、知識やスキルなど、自分自身の成長の余地を把握できました。メンバーは、謙虚ながらもモチベーションが高い人しかいないので、さらに成長したいと思うようになり、そのような相乗効果のおかげで、無意識のうちに成長しあえる環境に身を置いていたことです。
別の発見としては、土日は終日、週1日は平日の夜にゼミがあり、入学当初はタイトなスケジュールで、2年間も過ごせるのか?と、不安で仕方なかったのですが、入学して3カ月後くらいには、志高いメンバーと話すことで、なぜかストレス発散につながったことです。実習など、スケジュールが立て込む時期もありましたが、学校自体が辛いと思ったことは、全くありませんでした。
Q.本学の魅力について教えてください。
講師の先生方は、その道のスペシャリストばかりが集まっているため、講義・診断実習の質が本当に高いと思います。また、講師の先生方を含め、OB・OGの先輩方とのコミュニティは強固だと思います。今後のキャリアについて、講師の先生や先輩方に相談をもちかけても、快く受けてくださり、このように同期の横だけでなく、縦のつながりが強いのは東洋大学の大きな魅力の一つだと思います。
また、同期は仲が良く、ONもOFFも共に過ごせて、自己研鑽だけでなく、将来のことについて語り合うなど、学生だからこそできる、“大人の青春”を味わうことができました。同期が多いメリットは、それぞれの分野で活躍している人が多いので、そのキャリアについてキャッチアップできることです。私は、ゼミのメンバーと土日の授業が始まる前に勉強会を実施していまして、メンバーが築いたキャリアを共有してもらえるのは非常に光栄でした。
授業に関しても、「店舗マネジメント」や「製造業現場体験」など、実際に現場に足を運び、直接の体験をもって学ぶ演習もあり、机上の空論で終わらない実践志向のスタイルは、なかなか他の養成課程機関では経験できないと思っています。
さらに凄いのが、図書館の存在です。ジャンルだけでなく、比較的新しい書籍や雑誌が充実していることです。卒業後も図書館を利用することができるので、継続して利用させてもらいたいと思っています。
Q.論文の研究テーマや内容について教えて下さい。
研究テーマ:中小SI企業が得た経営資源が介護IoT提供事業の確立に果たした役割
現代の日本が抱える重要な社会課題の一つに、介護業界における人材不足の問題があります。高齢化が進むにつれて要介護者の人数が増加しているが、介護人材の供給がそのペースに追いついていないのが現状です。そして、介護人材不足の解決策としてIoTの利用に期待が寄せられていますが、実際には、日本の介護施設におけるIoTの導入状況は低調です。介護施設でのIoT導入が広まっていくには、介護施設などのようなユーザ事業者の阻害要因の克服はもちろん必要ですが、一方で、IoT製品・サービスを提供しようとする事業者が、新しいテクノロジースタックを必要とするIoT事業に参入し、介護IoT提供事業を軌道に乗せていくプロセスを解明することが求められます。
本研究では、中小システムインテグレーション(SI)企業である東洋電装株式会社を対象とした単一事例研究です。元々は制御盤事業や高速道路システム事業などを手がけていた同社が、2014年に離床センサーを活用したシステムを開発し、2018年より介護分野でのシステム提供事業を本格的に開始し、2021年には約100の入所系介護施設に対して3000台ものIoT機器を含むシステムを導入するに至った過程を分析しています。分析の視座として資源ベース理論(Resource-based View: RBV)を採用し、同社がIoTシステム事業を軌道に乗せるのに貢献した経営資源を特定しています。
模倣しやすい経営資源であっても、複数の経営資源を組み合わせることで、介護事業者側のニーズに沿うようなシステム提供を行えることが重要です。また、事業の参入後に、希少性と模倣困難性が高い経営資源を獲得し、これらをすでに展開している介護IoT事業に組み合わせることが、事業の継続や発展において重要です。
Q.ゼミ教員や中小企業診断士教員とのエピソードがあれば教えて下さい。
MBA側でご指導いただいた野中先生には、パラグラフライティングを軸とした論文の作成方法や、研究に対する論理的なアプローチや展開について、ゼミだけでなく、個別にオンラインで、まめにフォローしてくださり、本当に感謝しています。入学当初は、正直「診断士取れればいいや」くらいの気持ちでしたが、野中先生の教育指導が素晴らしく、夢中で研究に没頭することができました。また、知識ベースのアカデミックな内容だけで終わらず、いかに実践に活かせるかなどの企業側の状況を踏まえたうえで、経営学理論を講義してくださったおかげで、実践に活かすための経営学理論を学ぶことができました。
診断士側の先生には、実際ご自身で診断士として活躍されているノウハウを出し惜しみすることなく、ご教示いただけたことに本当に感謝しています。特に診断実習においては、古澤先生と卒業生でもある6期の谷口先生に、ご指導いただけたことが本当に財産になりました。一時期、優秀なメンバーと比べて、自分の成長が止まっているのでは?と不安に駆られ、自信を失っていたのですが、両先生から今後の成長に向けた的確なアドバイスを直接いただけ、本当に感謝してもしきれません。
また、「創業ベンチャー助言」の演習では、五十嵐 尚先生からのアドバイスがシンプルでありながら奥が深く、今まで提案や課題解決をどういう風にアプローチしたらいいか悩んでいたので、目からうろこが落ちるようでした。
Q.本学での学びがどのように役立っているのか教えて下さい。
過去、技術・営業・管理部門と様々な仕事を経験してきましたが、それぞれが点であり、つながりを全く意識できていませんでした。ただ、コンサルの基礎を学び、実習や演習などを通して体系立てて習得したことで、有機的につながり、多面的なアドバイスができるようになったと思います。木下先生から入学直後の講義で教わった、ABCDEFにすべてが集約されていることを、2年の授業(演習・実習含む)を通して腹落ちすることができ、そこから様々な課題解決や提案などに活きることがわかったため、幅広く活躍できる下地ができたと思っています。
実際にはIPOフェーズの経営企画として従事しているのですが、例えば証券会社対応において、バリュエーションの緻密な算出をできる専門家はいても、この算出に対して会社としてどう戦略やプランを立てているのか?そのためにはどのような組織体制で臨んでいるのか?など、俯瞰してロジックの通った説明をできる人が少ないことがわかり、自分の強みとして活きています。また、IT導入においても、ITに詳しい専門家は数多くいますが、適切なシステムの選定や組織にフィットさせる施策は、多面的な見解を必要とするため、非常に役に立っています。それ以外にも、組織が崩壊した時に何をすべきかなど、数多くありました。
Q.本学で得られた資格や学位、スキル、経験を将来どのように活用していきたいか教えて下さい。
今後の方向性については、大手企業、中小企業、ベンチャー企業などの様々な企業で積んできたキャリアである「経営再建・企業再生」、「営業体制の構築を含むプロモーション強化」、「IPO支援」、「IT化支援」を軸に、中小企業の経営者様のお力になれればと思っています。独立を検討しており、できれば介護業界を中心に地域社会へ貢献し、人々が幸せになれる社会を創っていきたいと思っています。
そのためには、東洋大学でお世話になった先生方や先輩方、同期とのつながりを大切にし、勉強会や仕事を通じながら自己成長し続け、付加価値を提供していきたいと思っています。
また、MBA側で研究にご協力いただいた中小企業様との関係も継続し、その企業様に協力いただきながら、IT化でお困りの経営者様のお力になれれば幸いです。
Q.今後、本学を目指す方にメッセージをお願いします。
中小企業診断士を目指した背景や理由は、それぞれ異なると思います。しかし、試験合格に向け、膨大な量の勉強をしていると、いつしか資格を取得することが目的になってしまう気がします、私はそうでした。資格取得後のキャリアを再確認したい、もしくは明確なキャリアビジョンをお持ちで実現したい方は、東洋大学をお勧めします。東洋大学に入学する方々は本当に優秀で、モチベーションの高い人が多く、夢の実現に向けて努力したい方、自己成長を楽しめる方は絶対にお勧めです。
入学当初は、2年間が遠い先のことのように感じましたが、あっというまでした。しかし、振り返ると2年前が遠い昔のことのように感じます。かなり大学生活が充実していたからだと思っています。時には、周りの優秀さに自信を失ったりしていましたが、そんな状況でも、先生方や仲間に励まされ、全力でベストを尽くしてきたからこそ、卒業を迎えることができたと思っています。私は、2次試験の合格が程遠い状況でしたが、ここで2年間を素敵なメンバーと共に“大人の青春”を過ごすことができ、逆に養成課程のルートで良かったと心の底から思っています。ぜひ、ご自身の夢や人生をどう充実させたいかを整理いただきながら、本学を検討いただければ幸いです。
その他「先輩からのメッセージ(経営学研究科ビジネス・会計ファイナンス専攻)」はこちら