1. カリキュラム・日程について
土曜日・日曜日を中心に授業が行われ、多くの方にとって働きながら無理なく通うことのできるカリキュラムになっています。平日の出校は、①修士論文の制作につながる「ゼミ」の授業日(春学期15週/秋学期15週の年間30週における特定曜日の夜間)と、②経営診断実習の期間(2年間で5回実施する診断実習期間のうち、受診企業先でのヒアリング・調査や報告会に要する日。1回の実習あたり3日~4日程度。年間では7日~10日ほど)に限られています。
入学手続き後、3月中にガイダンスと事前教育演習(統計や調査分析に関する基礎講義)が3日間あります。4月開講後は、土曜日・日曜日を中心として定型的な授業サイクルが始まりますが、ゴールデンウィーク(後半)、お盆休み、秋の連休、クリスマス~正月期間は授業がなく、お休みとしています。また、2年目に進級する前の2月~3月は授業はありません(自主的なゼミ開催などを除く)。
演習講義については、ケースの読み込みなど事前の予習が必要な講義は一部に限られています。また、ごく一部の講義を除き、授業後の作業をともなうレポートの提出もありません。ただし、ゼミにおける発表の準備や修士論文の執筆、経営診断実習における調査分析結果のとりまとめ、報告書やプレゼンテーション用資料の作成などには、授業時間以外の時間を要します。
監督官庁である中小企業庁からはすべての授業を対面形式で行うように指導されており、ビデオ視聴による代講は認めていません。また、補講は行っていませんが、授業で使用した教材等は共有され、講師への質問ができる体制となっています。
2. 教員・指導体制について
演習講義や経営診断実習の授業を担当するのは、コンサルティングのプロフェッショナルとして活躍する中小企業診断士です(一部の講義は、公認会計士や税理士が担当)。また、ゼミの指導や一部の演習講義を担当するのは、東洋大学の専任教員(教授、准教授)や客員教授であり、学術研究の第一人者ばかりです。
主査/副査という複数の教員による指導体制をとっています。個別のゼミによりますが、毎回数名が研究の進捗について発表を行い、教員および院生間のディスカッションで進めていくという形が基本となっています。
ご自身の実務経験に基づく問題意識を出発点としてテーマを選んでいる方が多いです。また、ともすると「中小企業のDX化について」のような一般論的なテーマになりがちですが、研究の対象となるテーマはより範囲を絞ったものであることが求められます。
研究の対象となる分野は経営学全般であり、マーケティングもその範疇に入ります。また、指導教員のプロフィールに紹介されている専門分野と異なる場合であっても、修士論文制作のための指導には支障はありません。
大学側が一方的にゼミ配属を決めるというわけではなく、3月中旬に行われるガイダンスにおいて、ゼミ担当教員からゼミの内容や指導方針に関するプレゼンテーションを行ったうえで、院生が希望する研究テーマと教員の研究テーマの親和性などを考慮しながら、ゼミの配属を決定します。
3. 診断実習・診断士登録について
実際の中小企業に受診していただき、顧客へのアンケート調査、インターネット調査、商圏分析、販売データ・財務データの分析、工場診断など各種の調査を行い、経営者や従業員へのヒアリングを通して、企業の問題点や課題を抽出します。そうした課題に対して、グループで原因を探索したり、実務的な提案を案出し、調査分析や提案の成果を報告書にとりまとめてその骨子を報告会においてプレゼンテーションするという実践的な内容です。
ひとつの実習班における受講者数は8名と規定しており、1回の実習あたり3つの班編成としています(定員が24名のため)。3つの班で業態や平日の出向日、担当講師が異なるため、本コースでは、受講者の希望を募る形で、班編成を行っています。
中小企業庁の規定により、登録養成課程には、修了要件として、①全体として9割以上の出席、かつ、②演習/実習ごとに決められた基準講義時間(1年次:演習246時間/実習120時間、2年次:演習84時間/実習192時間)以上の出席が求められます。本学では、1年次:演習277.5時間/実習150時間、2年次:演習102時間/実習225時間(2025年度実績。年度によって変更する場合がある)のカリキュラム設計となっており、数回の欠席がすぐに修了要件に抵触する、ということはありません。
出席時間に関する要件のほかに、経営診断実習における成績が勘案され、修了時の面接審査が行われます。また、大学院としては、規定単位数の取得や修士論文の提出(口述審査を含む)が修了要件となっています。
中小企業診断士という国家資格の2次試験に代わるものが登録養成課程であり、中小企業庁の規定により、5回の診断実習と330時間を超える演習講義の受講が義務付けられています。これに、大学院における授業時間を加えるとすると確かに膨大な時間を要しますが、診断士登録養成課程における演習講義や診断実習が大学院の単位に置換されるしくみになっていますので、多くの方が想定されるよりも時間的な負荷は少なくなっています。わかりやすく言えば、診断士登録養成課程の授業(演習講義と診断実習)+修士論文の制作(そのために必要なゼミへの参加を含む)で構成されたコースです。
稀に、健康上の理由や遠方への転勤などによって、やむを得ずコースを離脱された方がいらっしゃいます。しかし、95%以上の方が2年間で修了し、中小企業診断士の国家資格とMBA(経営学修士号)の両方を取得されています。
4. 学生・卒業生について
年度によって多少のちがいはありますが、受講者の年齢層は25歳くらい~60歳くらいで、平均年齢は40代前半です。業種やバックグラウンドは多様で、メーカー、情報通信、金融、流通、公的機関や官公庁など、異なる業種の方々が受講されています。また、会社員だけでなく、経営者、士業、フリーランスの方々も在籍しています。
年度により異なりますが、例年2~4名程度です(多い年度は6名)。
ほぼ半数の方々が勤務を継続されますが、そうした中でも昇進したり、子会社の役員となったり、経営企画部門に異動したりと、キャリアを高めていらっしゃいます。また、3分の1くらいの方々が経営コンサルタントとして独立されます。そして、近年増えているのが、コンサルティング会社や上場企業に転職される方です。また、起業される方や博士後期課程に進学される方など、入学時には考えていなかったような多様な進路が見えてくるのが本コースの特徴かもしれません。
大学院として公式に行っている制度的な支援はありませんが、講師や先輩とのネットワーク活動が活発で、そこからの紹介で副業としての診断実務に携わったり、コンサルタントとして独立に至るケースもあります。
同期生のつながりは卒業後も継続していくようです。また、卒業生合同の懇親会も自主的に行われています。近年では、ゼミ単位での期を超えた交流が行われるケースが増えているようです。
5. 入試・出願関連
当年度もしくは前年度に中小企業診断士1次試験を合格者された方で、2次試験の受験資格がある方が対象です(2次試験に合格されている方は対象になりません)。例外的に、平成12年度以前の中小企業診断士1次試験に合格された方で、平成13年以降に2次試験を受験経験や登録養成課程の受講経験のない方が出願できる場合があります。
出願書類にもとづく書類審査を経て、面接審査が行われます。この面接審査は、ゼミを担当する専任教員が行うものと、診断士である教員が行うものの2部構成となっており、各々10〜15分程度です(学力審査は、診断士1次試験の合格をもってこれに代えるものです)。
ゼミを担当する専任教員が行う面接では、研究テーマや研究計画の内容、研究に対する熱意などが問われます。一方、診断士である教員が行う面接では、受講動機、協調性、表現力などがバランス良く評価されます。
大学院の公式サイトよりダウンロードすることが可能です。
6. 学費・給付金について
入学金と学費は要項をご参照ください。教育訓練給付制度(専門実践型教育訓練給付を含む)を活用することが可能です。
※2025年度現在のものです。今後変更になる可能性があります。